現実の税務の現場

・伊丹十三監督の映画「マルサの女」「マルサの女2」
・テレビドラマ「税務調査官 窓際太郎の事件簿」「トッカン 特別国税徴収官」
・高殿 円の小説「トッカン」「トッカン2」
思い浮かぶまま羅列しても「マルサの女」は下記の理由で入門編と言えると思います。
平成26年9月2日(火)ハッピーシネマストリートにゲスト出演させてもらって劇中と実際の差をビリーさんに問われても明確に答えられなかった反省から慎重に言葉を選び私見を交えながらも可能な範囲で公開します。

伊丹十三監督は「マルサの女2」で「似た者同士」を描きたかった?

 伊丹十三監督が自身の映画で描きたかった愛憎劇は「マルサの女」より「マルサの女2」だったそうです。
彼にとって国税局・税務署の立ち位置、組織を周知させる意味で「マルサの女」は重要な入門編でした。
劇中の脱税手口や小ネタのオンパレードの末の隠ぺい発覚は、公開当時も一昔前と言われたもので伊丹監督も承知の上にもかかわらず、ことさら「映画が公開されたから同様の手口の脱税が増える」と論じた識者や「これは、お金持ちのための映画だ。」と評した「おすぎ」には失笑を禁じえません。
伊丹十三監督は「税金を獲られる感覚を捨てきれない脱税者も異常な執念で追い回す査察官も似た者同士」とカチンコを握って撮影したのではないでしょうか。
ともかく現実の税務の現場にいた私にとってウソのような隠ぺい工作も暴いてきましたし監督が描いた虚像には現実味を感じていた現職の国税調査官でした。
 宮本信子が演じる主役「板倉亮子」は税務署調査官時代は5歳の子供を持つシングルマザー、当時税務署には数は少ないながら女性国税調査官はいましたし、将来的には女性は男性のような国税調査は無理だと言われた時代に伊丹映画の方が一足先に国税局・税務署の未来像を見せてくれました。
 さて、私たちが調査を受ける時、どんな心構えが必要でしょうか。
税務署の調査は任意調査、国税局の査察は強制調査。強制調査には裁判所の「許可状」が必要ですね。
ガサ入れ時だけ「許可状」がいるのではと思っていませんか?
節税者には大らかですが脱税者には鬼、虚像の国税調査官は得体のしれない人間像を描いて貰った方が丁度良いと思っています。

ありのままの

  私が国税を生涯の仕事に選んだ時、今は亡き祖母が「お前のような優しい人間が税務署の仕事が務まりはしない。」と断言したのを覚えています。
「定年までは務まらなかったけど、32年間は無事、勤め上げましたよ。」胸を張って墓前に報告しました。
 虚勢を張って生きることはシンドイ、出来るだけ「ありのまま」曝け出して第二の人生として「税理士の使命」を果たそう。
現職の税務職員を続ける限り[命の次に大事なのは金]・[性善説<性悪説]は捨て切れませんでしたが、今は[人間の本性は基本的に善であるとする倫理学・道徳学説、特に儒教主流派の中心概念である性善説]を信じ切れる気持ちすらあります。

「相続税についてのご案内」に関わる実務

 さて私の専門としていた相続税実務ですが、納税者の皆様から相続税申告書が提出される事から始まります。
そもそも自主的に期限内申告が出来ますか?
税務署から相続税申告書が届いて申告を思い立つのではありませんか?
亡くなって通常半年後に届く「相続税についてのご案内」では申告準備には足らないと思いませんか?
 さて、税務署は何処を向いて仕事しているのでしょう。
税務署のショは所ではありません。ひょっとして「市役所」と同様な行政サービスを期待していませんか?
少なくとも相続案内については概ね公平な最低限の行政サービスが行われています、あくまで私見ですが。
路線価の公開が7月1日なのは何故でしょう。
1月相続開始の申告案内が「お盆」過ぎから届くのと関係があるようなないような・・・。
 申告案内担当の税務職員は申告期限の4か月前には相続人代表に「相続税についてのご案内」が届くように努力していますので、届いて3か月ぐらいで完璧に期限内申告として提出できるのが相続税に携わるプロとしての税理士の使命であると思っています。